第六回 カナダからの便り♪

K.Y

2011年01月10日 17:20

「カナダ、年末年始の過ごし方」 

今回はカナダで暮らす人々の年末・年始の過ごし方をまとめてみました。日本とは異なった歴史・文化を背景に持つため、時の過ごし方にも違いが見られます。

カナダは歴史的にヨーロッパ文化をベースとした国家であり、キリスト教徒でない私達にとっても 日々の生活の中にキリスト教の影響を受けている行事が多々あります。クリスマスはキリスト教から広まった行事でありながら、今ではキリスト教を信仰しない国民も一緒になってプレゼントの交換、クリスマス・ホリデーを楽しんでいます。子供達はキリスト教の意味が分からなくても、クリスマスの日とはサンタさんが北極からやって来てプレゼントをくれる日だと認識しているようです。

カナダではクリスマスイブの夜、サンタさんが食べるスナックとして クッキー数枚とコップ一杯のミルクを暖炉の側に置いておくものだ、と言う習慣を私が知ったのは 子供が生まれてからの事でした。更にクリスマスイブの夜、子供達が寝た後に、親がコッソリとクッキーを半分食べ、ミルクも半分ぐらい飲んでおくものだと言う習慣がある事も その時に初めて知ったものでした。勿論これはサンタさんが来たことを示す 「証拠」 を残して置くためのものです。

私の子供達が小学低学年の頃、12月上旬に作文として、「サンタさんへのお手紙」 の書き方をクラスで習ったことがあります。そしてそのサンタさんへのお手紙をポストに投函すると、なんと本当にサンタさんから子供達に返事が届くのです。この郵便サービスがカナダにある事を私が知ったのも子供達が生まれてからの事でした。

カナダ人にとってクリスマスの日とはお爺ちゃん、お婆ちゃんから、そして孫までもが集まって、七面鳥料理を食べ、シャンペーンを飲み、暖炉の前でオシャベリをしながら時を過ごすのが一般的です。この日のために遠方から来る人が多く、お酒でほろ酔い気分になったこの晩、ゲストはそれぞれの家に帰ることは無く、招かれた家に泊まります。家族内のクリスマスパーティーをレストランとか料亭で開くことはありません。

12月25日の朝は一年で最も子供達が喜ぶ日です。プレゼントの箱を開ける日なのです。私の子供達が幼い頃、包み箱の中身がオモチャであったときは喜ぶのですが、童話本だったときには、チラッと一目見ただけで、子供達はすぐ次のプレゼントの箱を開けようとした事を私は今でも良く覚えています。「親の心、子知らず」 はこの時期から既に始まっていたのです。

翌日の12月26日はカナダでは 「ボクシングデー」 と呼ばれています。スポーツのボクシングでは無く、箱の整理を意味するボクシングです。この日はカナダでは1年で最大の大安売りの日として知られており、クリスマス商戦で売れ残った商品を商店が半額以下で処分する目的で始まった習慣です。人気がある商品を 「先着30名様に6割引き」 などと多くの商店が宣伝をするものですから、開店前からお店の前に長い行列ができ、人々は降り続く雪をかぶり、防寒コートを着て開店時刻を辛抱強く待ちます。朝9時開店に対して、朝5時ごろから人々が並び出します。 10万円のプラズマ・テレビが4万円で買えるとなると、誰もがその先着30人を目指すのです。但し 「定価10万円のテレビが激安4万円」 とは宣伝していても、そのテレビを 「4万円で30台売ります」 とは宣伝していません。大抵の場合 数台売って 「売り切れ」 となるのです。

やがて12月31日の年末に差し掛かり、時計が丁度 真夜中を指して、新年が始まった瞬間に、市内各地で花火が打ち上げられ、道行く車はホーンを長く鳴らせ続け、人々はブブゼラに似たような大小のラッパをケタタマシク鳴り響かせます。この時に歌う唄が 日本では 「蛍の光」 として知られている歌なのです。 勿論 メロディーは 「蛍の光」 であっても、その歌詞は全く異なる内容です。私にとって 「蛍の光」 とは卒業式の歌だと思っているものですから、カナダに40年暮らした今でも感覚のズレを感じるものです。 新年になって最初に歌うのが何故 「卒業式の歌」 なのだろうかと今でも思ってしまうのです。

1月1日は祝日となってはいるものの、殆どのカナダ人にとって この日は仕事に行かなくても良い ただの休日に過ぎません。日本のように1年で最もメデタイ日とは考えられていません。カナダ人は翌日の1月2日から通常の仕事のスケジュールに戻ります。日本人であれば、1月1日には おせち料理を食べ、お酒を飲んで、三日間はノンビリとするのが新年なのですが、カナダに暮らせば いつまでもそうは言っておられません。

山中


関連記事